SSブログ
米国特許制度研究(US practices) ブログトップ
前の5件 | -

日誌(米国代理人の訪問) [米国特許制度研究(US practices)]

日誌

米国、ワシントンDCのB事務所の特許弁護士であるMr.R氏が来所。米国出願のさらなる改善点について情報交換を行う(2012年10月23日午前、1.5時間)。

・112条第6パラグラフの適用を避けるためのクレームドラフティングについて
 方法クレームではやはり、「step」の文言を用いて構成要件を特定するよりも、動名詞を使うべきである。
 stepよりもactで規定すべきである。
 unit、means などの形式にこだわるよりも、構成要素中に、structureやactが規定されているかどうかに留意すべきである。

・クレームのプリァンブルは短くするべきである旨。
 (審査官は無視するが、裁判官は無視しないので、長くしても出願人に不利となるだけだから。)

・図面に関して
 10年程前は、図面中のグレースケール(細かなハッチングなど)がobejectionの理由となっていたが、現在ではその理由でobejectionにはならない旨。
 近年は、文字サイズが小さすぎとのobjectionが増えてきている。
 1図の中で、文字の方向は揃えること。

・電子メール・インターネットを用いた通信と、郵便(DHL、Fedexなど)による通信のメリット/デメリットについて(出願書類などを効率的に電子メールで送信する方法など)

・出願時の発明者の情報
 Leahy-Smith America Invents Acts (AIA)の施行後、発明者Residenceについて、デクラレーション中に記載する必要はなくなったが、発明者データシート中では、依然として発明者のResidenceを開示する必要があること。

椿特許事務所
弁理士TY

米国出願の宣誓書(デクラレーションなど)に関する規則の改正 [米国特許制度研究(US practices)]

2012年08月14日にUSPTO(米国特許商標庁)は、 米国出願に必要となる宣誓書(Declarationなどサイン書類)に関する新ルール(新施行規則)を公表しました。新ルールは、2012年9月16日(日曜日)から施行されます。

これは、2011 America Invents Act(通称「AIA」)のセクション4(a)、4(b)に基づく改正です。

ルール変更に伴う、宣誓書(デクラレーション)の新らしい書式は、USPTOのWEBサイトの「Patent Forms」
http://www.uspto.gov/forms/index.jsp
中の「Patent Forms for Applications Filed On or After September 16, 2012」をクリックすることで入手することができます。

比較のために、

改正前のデクラレーションひな形(PTO/SB/01)↓
http://www.uspto.gov/forms/sb0001.pdf

改正後のデクラレーションひな形(PTO/AIA/01)↓
http://www.uspto.gov/forms/sb0001aia_preview.pdf

のようになっています。

実務上、2012年9月16日以前の出願か以降の出願かでデクラレーションを使い分けるのは骨の折れる作業です。そのため、現地代理人に改正前後の双方で使えるフォーマットを作成してもらい、2012年9月16日以前はそれを用いて発明者からのサイン取得を行い、2012年9月16日以降になってから、頃合いをみて改正後の施行規則専用のデクラレーションに切り替えることが、楽かと思います。
(改正後のデクラレーションは、記載が簡潔になっている等の観点から、出願人に大きなメリットがあります。)


ほか、2012年9月16日は、2011 America Invents Act(AIA)における、Inter Partes Review、Post-Grant Reviewなど、重要な条項が施行される日であり、特許実務家は頭の切替を忘れないようにしましょう。


(宣誓書(デクラレーション)の新しい書式に関し、ご不明な点がございましたら弊所にご相談下さい。)

椿特許事務所
弁理士TY


米国出願明細書作成上の注意点とよく見かけるミス&仮出願の出し方・留意点 [米国特許制度研究(US practices)]

「米国出願明細書作成上の注意点とよく見かけるミス&仮出願の出し方・留意点」に出席して

筆者が以前委員会などで大変にお世話になった弁理士K先生が会長を務められている、日本弁理士会滋賀地区会の標記勉強会に出席してきました(場所は、滋賀県草津市でした)。勉強会では、米国ワシントンDCで約20年間特許事務所を経営されている、パテントエージェントのM先生、S先生から、「品質・コストの改善を図るための米国のプラクティスに沿った出願明細書作成のコツ」、および仮出願制度の利用について、ご説明頂きました。

講義では、米国人の明細書作成のスタイル、米国審査官の考え方、日本と異なる米国独特の審査実務、明細書翻訳上の問題点、仮出願の戦略的な利用法など、短時間にたくさんのことをお話し頂きました。

米国は魅力的な市場であり、また、知的財産保護の政策が国力の発展・維持に非常に大きな貢献をしている国でもあります(日本もそれに倣おうと、数々の政策が行われました。例えば、「知的財産戦略本部」の設置など。http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/index.html)。

世界の各企業が米国市場での競争力の強化を狙っており、日本企業と米国企業との間で数々の特許紛争が生じているのみならず、米国国内において、日本企業とアジア諸国の企業との間で、また、日本企業と日本企業との間で、特許の戦略的な駆け引きが続いています。

特許は、出願から20年という長い権利期間を有しています。競争がさらに激化することが予測される将来の米国市場の中で、現在の自社や競業他社の特許出願の内容が、将来の業界の勢力図に与える影響は小さなものではないと思われます。

そんな中、現在の米国特許出願において、

(1)取得する米国特許自体のクオリティを上げる(可能な限り広範囲な権利を取得する、容易に無効とならない権利とする、侵害の主張・立証が容易な権利とする、何人が見ても容易に理解できる権利とする)こと、および

(2)特許取得までの実務自体のクオリティを上げる(コミュニケーション力を向上させる(議論の齟齬をなくす)ことでOffice Actionの発生率を下げる、業務の品質を上げることによって特許査定率を上げ、また、権利取得までの所要時間を短くし、関与する人間全員の作業時間を減らし、コスト減を図る)こと、

は、各企業において重要であり、その双方を追求しているかしていないかによって、企業の20年後の将来は大きく変わっているものと思います。(日本の弁理士である私としては、米国を含めた世界の市場で日本の企業がリーダーシップを発揮できるべく知財実務を行うことが、一番やりがいのある仕事です。)


椿特許事務所
弁理士TY

米国特許訴訟セミナーへの参加 [米国特許制度研究(US practices)]

先日、米国A法律事務所所属のKさんのお誘いで、K法律事務所主催の「第2回米国特許制度セミナ-」に参加させて頂きました。

セミナーでは、「米国特許訴訟の実務対応 ~いかに訴訟費用を削減するか~」と題して、米国弁護士のS先生にご講演頂きました。

ご講演では、米国侵害訴訟の各フェイズにおいてどのようなイベントがあり、それぞれのイベントがどのような方法で進められるのかを説明して頂きました。そして、訴訟費用を削減するためには、クライアント側がどのような能力を身につけ、どのような米国弁護士を選び、どのような対応を取るべきなのかを説明して頂きました。

特に、米国訴訟におけるDiscovery(ディスカバリ:公判前に当事者間で行う、関連書類や情報の交換)の手続きについては、複雑であり、理解し難いと以前より思っておりましたので、Discoveryの具体的な内容(書類提出、質問状、証言録取、自認要求書、エキスパート・レポート)について詳細に説明頂き、大変勉強になりました。また、特許訴訟の戦略に応じての、ITC(米国国際貿易委員会)への提訴、DC(地裁)への提訴、およびUSPTO(米国特許商標庁)へのReexamination(再審査)の請求、の使い分けについても理解を深めることができました。今後の実務に活用させて頂こうと思います。

ご講演頂きましたS先生、主催のK法律事務所の皆様、そしてお誘い下さった米国A法律事務所のKさん、有り難うございました。

椿特許事務所
弁理士IT


【個人メモ】

(District court(連邦地方裁判所)での特許の無効主張と、Reexaminationでの特許の無効主張との差異について)
District courtにおける特許の無効判断は、その州のみを拘束するが、Reexaminationでの特許の無効判断は、合衆国全土を拘束する。両者の判断に差異があるときは、CAFCがその判断を統一する。

特許クレームの権利範囲内にあった侵害被疑品が、特許クレームの訂正により特許クレームの権利範囲外になった場合、差し止めは当然に認められなくなるが、特許クレーム訂正前の期間の実施行為に対する損害賠償の請求は、原則として認められる。

District courtにおける侵害訴訟中にReexaminationによって特許の無効が確定した場合、訴訟物の消滅によりDistrict courtにおける侵害訴訟は却下となる。

椿特許事務所
弁理士TY

ワシントンDC便り(8) [米国特許制度研究(US practices)]

2009.7.2 特許の訂正、再審査、再発行、自由の女神!?

今日は、特許の訂正、再審査、再発行に関する講義を受けました。

権利化後にクレームを訂正する手段としては、訂正の請求、再審査の請求、再発行の請求があります。このうち訂正の請求は、特許権の保護範囲に影響を与えないような軽微な誤り(たとえば特許証の誤記)を修正する手段です。

再審査の請求は、権利化後に、先行技術に基づいて特許権のクレームが特許性を有するか否かの審査を請求するものであり、日本のかつての異議申立制度に近いものです。再審査制度は、自身の製品が特許権を侵害している恐れがある場合に、先行技術を提出するとともにその特許権の有効性についての判断を求める、という利用方法が考えられます。

再発行の請求は、特許権に重大な誤り(たとえば明細書等の誤記、クレームの保護範囲が適当でない等)がある場合に、訂正した特許を発行する手段です。特許の発行から2年以内であれば、クレームの保護範囲を拡張することもできます。

Statue of Liberty.JPG

アメリカでは7月4日が独立記念日で祝日であるため、BSKBの講義も明日から4連休です。私は連休をNYで過ごすため、講義後、受講生の友人とともにレンタカーでNYへ向けて出発しました。

私は、ワシントンDCからNYまでは大阪から京都までの距離くらいかな、という感覚を持っていたのですが、実際には400キロ弱あることを、出発してから知らされました。ワシントンDCを夕方6時に出発したのに、一向にニューヨークは見えてきませんでした。

そのため、運転して頂いたA事務所のOさん、N事務所のNさん、S社のOさんには申し訳ないのですが、車内はだんだん飽き飽きムードになってきました。0時を回る頃、私はNYの方向に、ライトアップされた青く高い建造物を発見し、声を上げました。私が上げた声につられて、無口になっていたK社のKさん、S社のOさんも声をあげました。自由の女神が見えたのです。とうとうニューヨークだ!と、車内の雰囲気が一気に明るくなりました。しかし、A事務所のOさんだけは「ほんまにー?」と懐疑的な態度をとりました。自由の女神なのかどうか、延々言い争っていると、車はようやくニュージャージーのホテルに到着しました。時間は夜中の1時半でした。

次の日、我々が見た建造物の方向にはエンパイアステートビルがそびえ立っており、Oさんは勝ち誇ったように、「あ、自由の女神やー!」「ほんまやー!」と我々のリアクションを再現しては、けらけら笑っていました。しかしその夜見た建造物は一体何だったのか、真相は闇の中、ということにしておきます。


2009.7.3-5 NYでの日々

broadway.JPG

<寝るのにも一苦労>

参加者の仲間と一緒に、ホテルのツインルームを借りた。ルームメイトはチェックインし、「ミスターイシカワが来たらルームキーを渡してくれ」とフロントに伝言をして外出していった。しかし、遅れてホテルに到着した私がフロントに言っても、「ルームキーは預かって無い」の一点張りでキーを渡してくれない。

3時間ロビーで待たされてようやくルームメイトが帰ってくると、フロントは彼にあっさりとキーを渡した。「なんでルームキーをくれなかったんだ、ずっと待ってたんだぞ」と強く言っても、「ルームメイトから伝言をもらってなかったので」の一点張り。一体どういうこと!?

<食事にも一苦労>

ワシントンDCでもそうだったが、朝食はバイキング形式であるものの、パンとコーンフレークのみ。野菜無し。鼻血が出そうなくらい甘いドーナツは有り。

<移動にも一苦労>

地下鉄の入り口にある3台の券売機のうち、1台は壊れており、1台は点検中、1台は定期券専用の券売機。普通の片道切符が買えない。入り口で途方にくれていると、知らない若者が、通してやるから乗車券分のお金をよこせと言ってくる。怪しみながら、乗車券の金額2ドル25セントちょうどを渡すと、自分のプリペイドカードで私を通してくれた。いい人だったのかな?

<トイレにも一苦労>

トイレは犯罪が起りやすいので、アメリカ、特にNYのお店にはトイレが無い。みんなどこでしてるんですか?気軽にビール飲んじゃってるみたいですけど。

<花火見るのも一苦労>

7月4日の独立記念日の夜はハドソン川で花火を見た。少し早い時間に行って席を取った。シートを敷いて座っていると、なぜか土足でどかどかシートを踏んずけて行くニューヨーカーの皆さん。通路側に座っていたC社のTさんがたくさんの通行人で我々から隔てられてしまって、まるで迷子の少女みたいになってしまった。ニューヨーカーの皆さんは靴を脱がない風習でしたね。忘れてました。

花火を見ながら飲もうと、S社のOさんは気を利かせてワインを持ってきてくれた。しかし、人込みの中誰も酒を飲もうとしない。そういえば、アメリカでは路上で酒を飲むと逮捕されるのを忘れていた。飲んだら気持ちいいのに、皆さん飲まないんですか?

<チップの支払いにも一苦労>

NYに来ている仲間で集まって、コリアンタウンでご飯を食べ、お酒を飲んだ。最後にお会計を店員さんにお願いしたら、10人で合計189ドルだった。私は「200ドル払ったら一人20ドルづつ割れるし、チップも払えるな」と酔った頭で計算して、カードの支払い金額として200ドルと記入した。

数分後、店員さんが私のところへやって来て「我々のサービスに何か問題がありましたか?」と神妙な顔で言った・・・。しまった。チップの計算を間違えた!アメリカのレストランでは、チップを合計金額の15%~20%くらい払うのが普通なのである。ちゃんと計算したら30ドルくらいチップを払わなきゃならないのに、半分以下の10ドルくらいしか払ってなかった。店員さんごめんなさい。いい店だったのに。

・・・でもでも、タイムズスクエア、メトロポリタン美術館、セントラルパーク、自由の女神、ソーホーのショッピング街、どれも素晴らしかったです!!

metropolitan.jpgcentral park.jpg

椿特許事務所
弁理士IT
前の5件 | - 米国特許制度研究(US practices) ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。